Japanese
English
実践講座 障害者の加齢に伴う問題と対策・2
ポリオ
Post-polio syndrome:the problems and approaches for aging.
小田 太士
1
,
佐伯 覚
1
,
蜂須賀 研二
1
Taiji Oda
1
,
Satoru Saeki
1
,
Kenji Hachisuka
1
1産業医科大学リハビリテーション医学講座
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
ポリオ後症候群
,
加齢
,
包括的アプローチ
Keyword:
ポリオ後症候群
,
加齢
,
包括的アプローチ
pp.131-136
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101443
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はじめに
乳幼児期を中心に罹患するポリオ(急性脊髄灰白髄炎)は,1本鎖RNAを遺伝子とし,ピコルナウイルス科エンテロウイルス属に分類されるポリオウイルスによる感染性疾患である.ポリオウイルスは抗原の相違から1~3型に分類され,現在,残存するポリオ罹患者は,主に1型ウイルスが関与している.何らかの媒体は介さず,感染者の糞便などから手指や飲食物を通じての経口感染が主である.
ポリオウイルスは,咽頭や腸管内で増殖後,各リンパ組織内でさらに増殖し血中に侵入する.脊髄前角細胞や脳幹部など神経組織との親和性が強いため,これらの運動神経細胞を侵し,弛緩性麻痺や球麻痺をもたらす.しかし,中枢性の麻痺を生じるのは1~2%であり1),90~95%は何も症状がなく不顕性感染のみで終わる.弛緩性麻痺は,感染から12~18か月までは回復の可能性がある2).この麻痺の回復機序は,①部分的に障害を受けた前角細胞の機能回復,②前角細胞から分枝した軸索が脱神経筋を再支配,③残存筋線維の肥大,④筋線維Type ⅡからType Ⅰへの変異,と考えられている3-5).
本稿では,ポリオ罹患者と加齢の問題に関して,各々の症状とその対策について詳述する.
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