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はじめに
わが国の高齢化の進行は著しく,65歳以上の人口の割合(高齢化率)は年々上昇し,2022年には29.0%に達している1).2022年に厚生労働省から発表された平均寿命は,男性81.05歳,女性87.09歳であり,今後も増加する見込みである.死因は割合の多いものから,がん(24.6%),心疾患(14.8%),老衰(11.4%),脳血管疾患(6.8%),肺炎(4.7%),誤嚥性肺炎(3.6%)であり2),医療を必要とする高齢者は増え,これらの疾患の予防や治療を行うことはリハビリテーション医学の重要な課題である.
また,高齢化に伴い要介護者も年々増加しており,2021年度末で要介護・要支援の認定者数は690万人を超えている3).2022年に厚生労働省が実施した国民健康基礎調査では,介護が必要となった原因で多いものから認知症(16.6%),脳血管疾患(16.1%),骨折・転倒(13.9%)であり,要支援者の原因に限れば,多いものから関節疾患(19.3%),高齢による衰弱(17.4%),骨折・転倒(16.1%)となっている4).平均寿命の延伸とともに健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間である健康寿命を延伸することが健康づくりの課題となっている.健康寿命を延伸するためには要介護・要支援の状態を予防・改善することが必要であり,リハビリテーション医学の果たす役割は大きい.
リハビリテーション医学で対象となる疾患・障害・病態はさまざまであるが,その多くが加齢に関係している5)(図1).特に近年注目されているサルコペニア,フレイル,ロコモティブシンドローム(ロコモ)は加齢に関係した病態であり,その対策が重要である.
また,高齢化や社会状況の変化とともに人々の生き方も変化している.人生100年時代といわれ,定年まで1つの職場で働く価値観は変化し,ライフステージの変遷や働き方改革なども相まって,多様な生き方,働き方が求められている.職場では高年齢労働者が増え,それに伴い高年齢労働者の労働災害防止が重要な課題となっている.

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