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線維化はコラーゲンなどの細胞外マトリックス(ECM)の過剰蓄積によって組織の機能不全が生じる病態で,全身のさまざまな臓器で生じる.肝臓においては,metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease(MASLD)/metabolic dysfunction-associated steatohepatitis(MASH),ウイルス性肝炎,アルコール性肝炎,自己免疫性肝炎(AIH),原発性硬化性胆管炎(PSC),原発性胆汁性胆管炎(PBC)などの慢性肝疾患において線維化病態が惹起される.線維化に対して直接的かつ有効な治療法は確立されておらず,高いアンメットニーズが存在する.特にMASHは米国において,肥満や2型糖尿病罹患者数の増加とともに有病率が年々増加し,今後ますます増加傾向にあることから,新しい治療薬の回復が望まれている.以前は,肝線維化は不可逆的なものと考えられていたが,ウイルス性肝炎における直接作用型抗ウイルス薬(DAA)治療の進歩により,原因となるウイルスを除くと肝線維化の回復・改善が臨床的に認められることが報告され,そのドグマは覆されつつある1).一方,MASHのような多因子が原因となる疾患において肝線維化の可逆性についてはいまだ不明な点が多い.肝線維化において肝臓に常在する,あるいは病態によって浸潤する免疫細胞がその病態形成に大きく関与していることが古くから知られてきた.また近年,マウスを用いた解析において,線維化からの回復でも種々の免疫細胞が関与していることが明らかとなってきた.本稿では,MASHを中心とした肝線維化の進展および回復における免疫細胞の役割およびその作用機序について概説する.
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