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第1土曜特集 MASLD/MASH――研究と診療の最新情報
病態
MASLDからの肝発癌分子メカニズム
Molecular mechanisms of liver carcinogenesis in MASLD patients
疋田 隼人
1
Hayato HIKITA
1
1大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学
キーワード:
慢性炎症
,
酸化ストレス
,
サイトカイン
,
肝線維化
,
p53
Keyword:
慢性炎症
,
酸化ストレス
,
サイトカイン
,
肝線維化
,
p53
pp.374-378
発行日 2024年5月4日
Published Date 2024/5/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28905374
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Metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease(MASLD)患者の肝細胞はさまざまな生体ストレスを受けており,持続的に肝細胞死が惹起される.肝細胞死の持続は,肝臓の慢性炎症を誘発する.MASLD患者の肝細胞オートファジー障害,脂肪細胞機能異常,脂肪組織における慢性炎症などが,肝臓の慢性炎症をさらに増幅させる.この肝臓の慢性炎症は,MASLDからの肝発癌誘導に大きく関与している.慢性炎症によって誘導される酸化ストレスやTNF-α,IL-6は遺伝子変異を誘導し,肝細胞の悪性転化の要因となる.また,肝癌細胞に直接的あるいは肝癌微小環境を介して,肝癌進展を促進させる.その他,肝線維化進展や腸内細菌叢のバランス異常(dysbiosis)や腸管上皮の透過性亢進,肝細胞p53の活性化も,MASLD患者の肝発癌促進に寄与する.このように,MASLDではさまざまな因子が複合的に影響して肝発癌が惹起される.
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