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第1土曜特集 肥満症――代謝異常から全身性疾患へのパラダイムシフト
肥満関連疾患の治療戦略
肥満とMASLD/MASH
Obesity and MASLD/MASH
西村 典久
1
,
鍛治 孝祐
1
,
吉治 仁志
1
Norihisa NISHIMURA
1
,
Kosuke KAJI
1
,
Hitoshi YOSHIJI
1
1奈良県立医科大学消化器内科学講座
キーワード:
代謝異常
,
2型糖尿病
,
GLP-1受容体作動薬
Keyword:
代謝異常
,
2型糖尿病
,
GLP-1受容体作動薬
pp.965-970
発行日 2025年6月7日
Published Date 2025/6/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293100965
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肥満症に合併する脂肪性肝疾患(SLD)は,2023年に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)から代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)として再定義された.NAFLDの問題点であった除外診断や病態の混在,偏見的な名称を解消するためであり,BMI,血糖値,血圧,脂質異常などの代謝異常の存在を前提としたうえで,他の肝疾患を除外することにより,中等度の飲酒者も含めた包括的な疾患概念として扱われることとなった.MASLDの有病率は世界的に増加し,生活習慣病との関連が深いため,早期発見と治療介入が重要であり,特に2型糖尿病との関わりは密接であるといえる.治療の基本は食事・運動療法といった生活習慣の改善であるが,近年ではGLP-1(glucagon-like peptide-1)受容体作動薬などの薬物療法も体重減少効果とともに肝脂肪化や炎症改善効果の報告がみられており,新たな治療選択肢として注目されている.今後の研究により,効果的な治療戦略の確立が期待される.

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