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第1土曜特集 MASLD/MASH――研究と診療の最新情報
病態
細胞死を起点とした肝線維化メカニズム
Molecular mechanisms of liver fibrosis originating from hepatocyte cell death
伊藤 美智子
1
,
菅波 孝祥
2
Michiko ITOH
1
,
Takayoshi SUGANAMI
2
1東京医科大学生化学分野
2名古屋大学環境医学研究所分子代謝医学分野
キーワード:
マクロファージ
,
脂肪毒性
,
コレステロール
,
crown-like structure(CLS)
Keyword:
マクロファージ
,
脂肪毒性
,
コレステロール
,
crown-like structure(CLS)
pp.363-367
発行日 2024年5月4日
Published Date 2024/5/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28905363
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Metabolic dysfunction-associated steatohepatitis(MASH)は肝臓への過剰な脂質蓄積を背景に慢性炎症が惹起され,組織線維化から臓器機能不全に至る疾患である.MASHでは肝細胞死の増加が指摘されており,慢性炎症の起点になると考えられる.近年,シングルセル解析技術の発展に伴ってマクロファージの多様性が明らかになり,疾患特異的マクロファージ亜集団の存在が注目されている.MASHではコレステロールをはじめとする脂肪毒性が肝細胞死を誘導することが指摘されており,特に遊離コレステロールの増加やコレステロール結晶化といった質の変化も重要である.死細胞に由来するコレステロールはマクロファージのリソソームストレス応答を介して疾患特異的活性化を誘導し,病態形成を促進することが明らかになってきた.代謝ストレスによってもたらされる肝細胞死の特性と,病態形成に直結するマクロファージの機能解析が進むことで,病態理解と新規治療戦略の開発につながることが期待される.
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