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第1土曜特集 MASLD/MASH――研究と診療の最新情報
疾患概念・診断・フォローアップ
MASLD/MASH
-――新たな名称・分類にみる将来の展望
MASLD/MASH
――Future prospects in the new nomenclature and classification
芥田 憲夫
1
Norio AKUTA
1
1虎の門病院肝臓内科
キーワード:
MASLD
,
MetALD
,
アルコール関連肝疾患(ALD)
,
MASH
Keyword:
MASLD
,
MetALD
,
アルコール関連肝疾患(ALD)
,
MASH
pp.310-314
発行日 2024年5月4日
Published Date 2024/5/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28905310
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米国肝臓病学会(AASLD),欧州肝臓学会(EASL),ラテンアメリカ肝疾患研究協会(ALEH)が中心となり,脂肪性肝疾患の新たな名称・分類が提唱された.さまざまな病因の脂肪性肝疾患を包括する名称としてsteatotic liver disease(SLD)という疾患概念が提唱され,病態,原因により5つに分類された.非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とほぼ同等なmetabolic dysfunction-associated steatotic liver disease(MASLD)が提案され,診断基準は5つの心代謝系危険因子のうちすくなくとも1つ異常値を満たすとされた.MASLD以外の新しいカテゴリーとして,中間飲酒群を表すMetALD,従来通りのアルコール関連肝疾患(ALD)などに分類された.さらに,病態病理学的な概念として重要な非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は,metabolic dysfunction-associated steatohepatitis(MASH)という名称に変更された.今回の新たな提唱から,病態進行におけるアルコールのインパクトを再認識させられた.一方で,MASLD/MASHの概念はおおむね名称のみのマイナーチェンジといっても過言ではなく,従来NAFLD/NASHに行われてきた基礎・臨床研究,臨床治験は継続できる.疾患概念の変化は研究の方向性を根底から覆すことにつながる.このようなマイナーチェンジに翻弄されている時間はない.MASLD/MASHに対する薬剤を1日も早く上市できることを願ってやまない.
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