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第1土曜特集 ARDSの治療戦略――個別化診療への道筋
肺傷害のメカニズムと人工呼吸管理
【今後の診療ガイドラインに影響を及ぼす可能性のある呼吸生理学とエビデンス】
メカニカルパワー
Mechanical power
島谷 竜俊
1
Tatsutoshi SHIMATANI
1
1国立循環器病研究センター集中治療科
キーワード:
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
メカニカルパワー(MP)
,
肺保護換気
Keyword:
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
メカニカルパワー(MP)
,
肺保護換気
pp.71-74
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2860171
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急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の人工呼吸管理において,人工呼吸器関連肺傷害(VILI)の回避は非常に重要である.肺保護換気として低容量換気,駆動圧に注目が集まっているが,近年,新たな概念として人工呼吸に関連する変数を統合したメカニカルパワー(MP)という概念が知られてきた.ここには気道内圧,換気量に加え,吸気時間(流量),呼吸回数といった変数が含まれる.種々の基礎実験や臨床研究から,これらの変数が肺を傷害することが示されており,またMPが死亡率と関連するという報告もされている.しかしMPの標準化,総数と各要素との関係,フローパターンの違いが与える影響など解明されていない事象も多く残っている.今後,この概念を契機にさらなる肺傷害の研究の進展と,その臨床面への応用が人工呼吸管理の発展につながることが期待される.
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