特集 ARDSの今を語り尽くす
❺ 肺保護換気のこれまでとこれから—生理学的背景と1回換気量/プラトー圧,適切な指標とは何か?
中島 幹男
1
Mikio NAKAJIMA
1
1東京都立広尾病院 救命救急センター
キーワード:
肺保護換気
,
1回換気量制限
,
プラトー圧制限
,
baby lung
,
StressとStrain
,
気道内圧
,
経肺圧
Keyword:
肺保護換気
,
1回換気量制限
,
プラトー圧制限
,
baby lung
,
StressとStrain
,
気道内圧
,
経肺圧
pp.41-49
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201149
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はじめに
急性呼吸窮迫症候群acute respiratory distress syndrome(ARDS)の治療のためには,人工呼吸器管理が必要となる。一方で,その人工呼吸器管理自体が肺傷害を悪化させ,死亡率を上昇させる一因になっており,人工呼吸器関連肺傷害ventilator-induced lung injury(VILI)と呼ばれる1,2)。「肺傷害」の対義語は「肺保護」であり,ARDSの治療戦略の1つとしてVILIを起こさないような肺保護換気が重要になる。広い意味で解釈すると,肺保護換気戦略には1回換気量制限,プラトー圧制限,駆動圧driving pressure制限,呼気終末陽圧(PEEP)の付加,強い自発呼吸の回避,患者-人工呼吸器非同調の回避,腹臥位,体外式膜型人工肺(ECMO)などを含むと考えられる。そのなかでも特に1回換気量制限とプラトー圧制限を肺保護換気と呼ぶことが多いため,本稿ではまずこの2つについて解説する。その後,肺保護換気の課題,そしてVILIの起こる生理学的背景から駆動圧の意味するところを考え,今後の指標について解説したい。
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