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第1土曜特集 ARDSの治療戦略――個別化診療への道筋
肺傷害のメカニズムと人工呼吸管理
【今後の診療ガイドラインに影響を及ぼす可能性のある呼吸生理学とエビデンス】
横隔膜機能不全と横隔膜保護換気
Diaphragm protective ventilation
木庭 茂
1
Shigeru KOBA
1
1練馬光が丘病院総合救急診療科集中治療部門
キーワード:
横隔膜保護換気
,
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
人工呼吸
Keyword:
横隔膜保護換気
,
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
,
人工呼吸
pp.75-81
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2860175
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昨今,人工呼吸管理を行ううえで肺保護換気だけでなく,横隔膜も保護する横隔膜保護換気という概念がある.横隔膜は敗血症などの全身反応に加え,不適切な人工呼吸管理を行うことで横隔膜機能不全を呈する.具体的には,横隔膜を使用せずにいると筋線維が萎縮する.また過度な呼気終末陽圧(PEEP)は横隔膜を足側に押し下げ,これが長期に及ぶとサルコメアの消失につながり長軸方向の萎縮を起こしうる.また,過度な吸気努力や患者-人工呼吸器の非同調は横隔膜の筋線維を傷害する.このように萎縮と傷害が組み合わさることで横隔膜機能不全を呈し,横隔膜機能不全は臨床アウトカムと関連している可能性がある.横隔膜機能を保つためには適切に横隔膜を使用し,過度な負荷や非同調などを避ける必要がある.したがって,適切に横隔膜を使用するために吸気努力のモニタリングが必要である.吸気努力のモニタリング項目としてはP0.1,ΔPocc,Pes,Pdi,TFdi,EAdiなどが知られている.これらの項目をモニタリングしながら人工呼吸管理を行うことで,肺保護に加えて横隔膜を保護した換気が行うことができる.
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