Japanese
English
TOPICS 疫学
食の炎症性
-――食事性炎症指数(DII)と高齢者の生活の自立度
Dietary inflammation:the dietary inflammatory index and disability among older people
増田 桃佳
1
Momoka MASUDA
1
1東京大学大学院医学系研究科国際保健学専攻人類生態学教室
pp.823-824
発行日 2023年5月27日
Published Date 2023/5/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28509823
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食の炎症性
食が健康に影響する背景にあるメカニズムのひとつとして慢性炎症があげられる.慢性炎症とは弱い持続的な炎症状態のことであり,心血管疾患,2型糖尿病,アルツハイマー病,がんなどの非感染性疾患の病態基盤として近年着目されている1).個別の栄養素の摂取量と慢性炎症の関連について,飽和脂肪酸や炭水化物は炎症を促進することが報告されており,n-3系脂肪酸やビタミンA,ビタミンC,マグネシウムなどは炎症を抑制することが報告されている2).実際の食事ではさまざまな栄養素・食品を組み合わせて摂取するため,食生活の炎症性を総合的に評価する食事性炎症指数(dietary inflammatory index:DII)が開発された3).DIIスコアは,食物摂取頻度調査などから得られた各栄養素・食品の摂取量をそれぞれの炎症レベルと掛け合わせた値の和として計算される.栄養素・食品の炎症レベルは,2,000件以上の先行研究をもとに推定されたものである.DIIスコアが高いほど食の炎症性が高く,低いほど食の炎症性が低い.DIIスコアは,菜食中心の食生活や地中海食で低いことが報告されている4,5).
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