発言席
食教育と急ぎの国民性
山口 和子
1
1関東学院女子短大食教育
pp.409
発行日 1979年6月10日
Published Date 1979/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206127
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デパートの食品売場はいうに及ばず,街の店頭を賑わしている国内外の食品の多彩さは,一見,わが国の食生活の豊かさを思わせる。中でも多種多様な工業化加工食品の出廻りは著しい。また,年商500億円以上といわれる外食産業数社のチェーン店は,主な街道筋に綴り,今や,いよいよ隆盛の気運にあるという。おふくろの味や郷土料理さえ商品化されてしまった。
こうした食環境の現状から得られる,それなりの簡便性や経済性,娯楽性など,たしかに捨てがたいものがある。個人では抗いきれない農業生産社会から工業化社会への急速な変貌,これにつれて変化した生活構造の背景もある。……が,要するに最近の食環境は他律的に画一化された枠内に組みあげられた感が強い。そして,この枠組みの最大の価値は手っ取り早い簡便性におかれていよう。
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