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第5土曜特集 腫瘍免疫――免疫ネットワークから考える基礎と臨床
ネットワークの各因子と,その因子を応用or標的とした基礎研究の現在と可能性
【がん微小環境TME内の免疫ネットワーク解明の研究手段】
網羅的ゲノム解析によるTME評価
-――全ゲノム/全エクソーム/RNAシークエンス解析
TME evaluation by whole genome and RNA sequencing analysis
中川 英刀
1
Hidewaki NAKAGAWA
1
1理化学研究所 生命医科学研究センター がんゲノム研究チーム
キーワード:
腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)
,
腫瘍微小環境(TME)
,
全ゲノムシークエンス(WGS)
,
RNAシークエンス
Keyword:
腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)
,
腫瘍微小環境(TME)
,
全ゲノムシークエンス(WGS)
,
RNAシークエンス
pp.428-433
発行日 2022年4月30日
Published Date 2022/4/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28105428
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がんの免疫ゲノム解析では,通常の網羅的ゲノム解析〔全ゲノムシークエンス(WGS),全エクソームシーケンス(WES),RNAシークエンス)〕からの情報を利用して,がんの免疫的解釈および免疫腫瘍微小環境(TME)の理解が,さまざまな切り口で行われてきている.Bulk(かたまり)がん組織からのRNAを用いて発現解析を行うと,さまざまな種類の免疫細胞の発現データも含まれているため,数学的アルゴリズムを駆使して,この情報を抽出することができる.この解析結果をもって,腫瘍の炎症状態(HOT/COLD)を判定し,腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)分画の推定や免疫状態の背景にあるシグナルパスウェイ解析も行うことができる.これらの情報を総合して解釈し,TMEの状態を推定する.また,ゲノム変異データからは,HLAやPD-L1/L2を含む免疫関連遺伝子の腫瘍ゲノムの変異やTMEと関連する変異が抽出され,変異から生じるネオアンチゲンの推定も行われており,TME-腫瘍の相互作用を明らかにすることができる.
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