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特集 CAR-T細胞療法の最前線――現状と残された課題
固形腫瘍に対するCAR-T細胞療法
-――腫瘍微小環境(TME)制御の重要性
Regulating the tumor microenvironment:a key to effective CAR-T cell therapy in solid tumors
酒村 玲央奈
1
Reona SAKEMURA
1
1メイヨークリニック血液内科
キーワード:
固形腫瘍
,
腫瘍微小環境(TME)
Keyword:
固形腫瘍
,
腫瘍微小環境(TME)
pp.217-223
発行日 2024年1月20日
Published Date 2024/1/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28803217
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遺伝子改変キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は,再発・難治のB細胞性急性リンパ性白血病,B細胞性リンパ腫,多発性骨髄腫などの血液腫瘍に対する臨床試験において驚くべき効果が示された1-8).これらの試験結果をうけ,米国食品医薬品局(FDA)から6種類(わが国では5種類)のCAR-T細胞製剤が承認され,日常診療において再発や難治性血液がんの有力な治療オプションとして認識されるようになった.一方,固形腫瘍においては,現在も幅広いがん腫に対するCAR-T細胞療法の臨床試験が進行中であるが,いずれも一部の患者においてのみ有効性が示唆されるものの治療効果は限定的である9).この限定的な効果にはさまざまな要因の関与があるが,CAR-T細胞の機能や持続性に影響を及ぼす腫瘍微小環境(TME)が最も重要な要素である.本稿ではTMEの観点から,固形腫瘍におけるCAR-T細胞療法の耐性や機能低下機序と,その克服法について考察する.
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