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第5土曜特集 マルチオミクスが解き明かす疾患の本質――統合的アプローチによる新たな知見
疾患別マルチオミクス解析の最新動向
【がん】
胃がんの多様性を紐解くマルチオミクス解析
Multi-omics analysis unraveling the diversity of gastric cancer
垣内 美和子
1
,
石川 俊平
1,2
Miwako KAKIUCHI
1
,
Shumpei ISHIKAWA
1,2
1東京大学大学院医学系研究科衛生学分野
2国立がんセンター先端医療開発センター臨床腫瘍病理分野
キーワード:
腫瘍内多様性
,
腫瘍微小環境(TME)
,
シングルセル空間解析
Keyword:
腫瘍内多様性
,
腫瘍微小環境(TME)
,
シングルセル空間解析
pp.784-789
発行日 2025年5月31日
Published Date 2025/5/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293090784
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胃がんは,病理組織学的にも分子生物学的にも非常に多様性の高い腫瘍である.そのため,現時点で使用可能な分子標的治療薬が限られていることや,化学療法などに対する耐性が生じやすいことが,臨床上の大きな課題となっている.近年,ゲノム解析技術の進展により,特定の遺伝子変異やシグナル伝達経路の異常が明らかになり,個別化医療の実現に向けた研究が加速している.しかし,高度に多様な胃がんの全容を把握することは依然として困難である.本稿では,これまでに提唱された分子生物学的分類に加え,シングルセル解析や空間解析によって明らかになった腫瘍内多様性や,腫瘍微小環境(TME)を構成する細胞間の相互作用に関する新たな視点を紹介し,これらが新規個別化治療の基盤となる可能性について論じる.

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