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第1土曜特集 CAR-T細胞療法の現在と将来展望
総論
CAR-T細胞療法に対する治療抵抗性メカニズム
Mechanism of resistance for CAR-T cell therapy
西尾 信博
1,2
,
高橋 義行
1
Nobuhiro NISHIO
1,2
,
Yoshiyuki TAKAHASHI
1
1名古屋大学大学院医学系研究科小児科学
2同医学部附属病院先端医療開発部先端医療臨床研究支援センター
キーワード:
キメラ抗原受容体(CAR)
,
T細胞の疲弊
,
抗原エスケープ
,
腫瘍微小環境(TME)
Keyword:
キメラ抗原受容体(CAR)
,
T細胞の疲弊
,
抗原エスケープ
,
腫瘍微小環境(TME)
pp.867-871
発行日 2021年6月5日
Published Date 2021/6/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27710867
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キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法はB細胞性血液悪性腫瘍に対して高い臨床効果をもたらし,他の血液悪性腫瘍や固形がんへの応用が模索されている.血液悪性腫瘍において持続的な効果を得る症例がある一方で,治療に反応しない,あるいはいったん寛解となっても再発する例がある.また,いくつかの固形腫瘍に対して実施された臨床試験では,血液悪性腫瘍にみられたような臨床効果は得られていない.CAR-T細胞療法に対して抵抗性を示す機序としては,大きくCAR-T細胞側の要因と腫瘍側の要因に分けられる.CAR-T細胞側の要因として,増殖力,傷害性,持続性が低いなどの質的問題,あるいはホストからの免疫応答によるCAR-T細胞の阻害などがある.また腫瘍側の要因として,抗原エスケープ,アポトーシス抵抗性,あるいは免疫抑制性の腫瘍微小環境(TME)などがある.これらの治療抵抗性メカニズムを克服し,CAR-T細胞療法の有効性を高める治療戦略が模索されている.
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