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連載 いま知っておきたい最新の臨床検査――身近な疾患を先端技術で診断・Vol.1
がんゲノムプロファイリング検査
Comprehensive Genomic Profiling for Cancer
西原 広史
1
Hiroshi NISHIHARA
1
1慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット
キーワード:
プレシジョンメディシン(精密医療)
,
がんゲノムプロファイリング検査
,
次世代シーケンサー
,
ドライバー遺伝子異常
,
Genotype Matched Treatment
Keyword:
プレシジョンメディシン(精密医療)
,
がんゲノムプロファイリング検査
,
次世代シーケンサー
,
ドライバー遺伝子異常
,
Genotype Matched Treatment
pp.1205-1213
発行日 2021年3月27日
Published Date 2021/3/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276131205
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「がん」はさまざまな遺伝子の異常が積み重なることで発症する,いわば「遺伝子病」であることがわかってきた1,2).その遺伝子の異常のなかには,がん細胞の生存に重要な特定の遺伝子(ドライバー遺伝子)が存在することが知られるようになり,その特定の遺伝子の異常を標的とした治療薬を用いて個別化治療を行うことを,「がんゲノム医療」,あるいは「プレシジョンメディシン(精密医療)」とよぶ3).従来のがん遺伝子検査は,EGFRやALK融合遺伝子のように,コンパニオン検査として特定医薬品の適応判断補助を目的に肺癌や乳癌,胃癌等で対象遺伝子を一つずつ調べる形で実施されてきたが,いよいよ2019年6月,複数の遺伝子をプロファイリングすることを目的としたがんゲノムプロファイリング検査(遺伝子パネル検査)が保険償還された.わが国におけるがんゲノム医療が新しいフェーズに入ったと言えよう.しかし,それに伴い検査の実施体制やその結果に基づく個別化治療の実践において,医療現場におけるさまざまな問題点が見えてきた.がんゲノムプロファイリング検査はこれからのがん医療を行うにあたり必須の検査のひとつであり,そうした問題点を明確にして,がんゲノム医療の均てん化を図る必要がある.本稿では現時点での最新のがんゲノムプロファイリング検査の詳細や技術に関して簡潔に解説し,がんゲノム医療の理解を深める一助にしたい.
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