Japanese
English
特集 法医学の新たな展開
死因究明における法医学の新たな展開
-――諸外国の制度と比較して
New developments in forensic medicine related to death investigation
石原 憲治
1
Kenji ISHIHARA
1
1千葉大学大学院医学研究院法医学教育研究センター,京都府立医科大学法医学教室
キーワード:
死因究明関連2法
,
調査法解剖
,
死因究明等推進基本法
Keyword:
死因究明関連2法
,
調査法解剖
,
死因究明等推進基本法
pp.188-193
発行日 2021年1月16日
Published Date 2021/1/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27603188
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
今世紀に入ってわが国の国会でも死因究明に関する議論が進み,政府に設置された研究会での議論や世界の6地域への視察も踏まえ,2012年には死因究明関連2法〔死因究明等推進法(以下,推進法),警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律(以下,調査法)〕が成立した.しかし,オーストラリア,スウェーデンといった死因究明の先進国に比較すると,解剖率はもとより,法医学施設の規模や人材,データベースの完成度,再発防止策への取り組み,遺族への対応など,さまざまな面で大きな差異が指摘できる.2013年からは調査法に基づく新しい種類の解剖が開始されたが,解剖率の上昇や地方間格差の是正には結びつかない状態が続いている.また推進法に基づいて,2014年には死因究明等推進計画が閣議決定されたが,期待された内容には至らず,推進法は失効し理念法の空白状態が続いた.それを埋めるべく,2019年に死因究明等推進基本法が成立し,2020年4月から議論が開始されている.論点は多々あり,各方面から改革への期待はあるものの,前途は多難であるといわざるを得ない.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.