FORUM 死を看取る――死因究明の場にて・Vol.22
死因究明の実践⑤
大澤 資樹
1
Motoki OSAWA
1
1東海大学医学部基盤診療学系法医学領域
pp.610-613
発行日 2024年8月24日
Published Date 2024/8/24
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290080610
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交通死亡事故と賠償
交通事故による死亡者数は,交通戦争とよばれた1970(昭和45)年の16,765人をピークに減少を続けており,2021(令和3)年度における警察庁が公表した24時間内死亡は2,636人となっている.道路環境の整備,安全運転教育の徹底,車の性能向上,救急体制の整備等,さまざまな要因が重なっての成果とされている.しかし,交通事故そのものは2022(令和4)年度で約30万件発生しており,後遺障害についての被害者加害者間の紛争は絶えない.交通死亡事故に関わる問題点はいくつもある.たとえば,運転中の病死については,突然死の項で取り上げた.他にも,高齢者のブレーキ踏み間違いや走行路の逆走といった運転操作ミスによる重大事故等のさまざまな論点がある.今回は,事故と死亡との因果関係について述べてみる.
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