FORUM 死を看取る――死因究明の場にて・Vol.20
死因究明の実践③
大澤 資樹
1
Motoki OSAWA
1
1東海大学医学部基盤診療学系法医学領域
pp.337-339
発行日 2024年7月27日
Published Date 2024/7/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290040337
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乳幼児の急死
乳幼児突然死症候群(sudden infant death syndrome:SIDS)は,旧約聖書などの古典にも記載がある乳幼児の急死である.普通に発育していた乳幼児が睡眠中に死亡して発見されるのが典型的で,発見時はうつ伏せの場合が多く,泣き声を上げ苦しんだ形跡はない.睡眠からの覚醒反応の機能不全が病態と考えられているが,その真の原因はいまだわかっていない.直前に軽度の上気道炎や胃腸症状を伴っている場合もあるが,健康状態から死亡するとは予期されず,状況調査や剖検によっても死因が判然としない.日本小児突然死予防学会での定義としては,「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず,しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない,原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群」とされている.
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