FORUM 死を看取る――死因究明の場にて・Vol.21
死因究明の実践④
大澤 資樹
1
Motoki OSAWA
1
1東海大学医学部基盤診療学系法医学領域
pp.546-548
発行日 2024年8月17日
Published Date 2024/8/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290060546
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
孤立死
第1章で述べた,発見時に硬直や死斑が発現し蘇生の余地がないと判断され,救急搬送されずに社会死として扱われたケースの多くは,一人暮らしの死亡発見である.阪神淡路大震災の復興過程で,一人暮らしの被災者の仮設住宅内での死亡が相次ぎ,社会的に注目され,当初は孤独死とよばれた.現在では行政を中心に孤立死とよぶことも多いようだが,何をもって孤立死とするのか定義が難しい.一人暮らしはやむをえないことで,たとえ一人暮らしをしていたとしても,家族が近くに住んで世話をしているなか,死亡の翌日に家人に発見された場合,これを孤立死とはよべない.やはり,社会とは隔離され,誰にも気づかれず,発見が遅れたケースを指す用語のはずである.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.