特集 小児領域におけるGLP-2アナログ製剤(テデュグルチド)の応用
各論:各疾患に対する使用経験
Closed gastroschisis術後の短腸症候群の症例に対するGLP-2アナログ製剤の使用経験
池上 満智彰
1
,
宮野 剛
1
,
植田 江莉
1,2
,
飯田 寿恵
1,3
,
二階 公貴
1
,
金子 浩太郎
1
,
伊藤 成宜
1
,
岡崎 任晴
1
Michiaki Ikegami
1
,
Go Miyano
1
,
Eri Ueda
1,2
,
Hisae Iida
1,3
,
Koki Nikai
1
,
Kotaro Kaneko
1
,
Masaki Ito
1
,
Tadaharu Okazaki
1
1順天堂大学医学部附属浦安病院小児外科
2聖隷浜松病院小児外科
3順天堂大学医学部附属順天堂医院小児外科・小児泌尿生殖器外科
pp.376-379
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000785
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はじめに
小児外科領域における短腸症候群は,壊死性腸炎,腹壁破裂,小腸閉鎖症,腸回転異常症による中腸軸捻転などの原因疾患による腸管の大量切除の結果,残存小腸が短くなることで消化吸収障害を起こす病態であり,欠乏する栄養素を補充するために長期にわたる中心静脈栄養(total parenteral nutrition:TPN)管理が必要とされる1,2)。また,短腸症候群に特有な代謝・栄養関連合併症に加えて,小腸機能不全関連肝障害(intestinal-failure-associated liver disease:IFALD)やカテーテル関連血流感染(catheter related blood stream infection:CRBSI)などの重篤な合併症を発症する可能性がある3)。特にIFALDやCRBSIに関しては,1日あたりの輸液量が多い症例ほど,そのリスクが有意に上昇するという報告がある4)。短腸症候群の治療方針として,それらの合併症を予防・治療しながら残存腸管の栄養吸収面積を増加させ,経口・経腸栄養を促進させることで,不可逆的な腸管不全に陥るのを回避すること,またTPNからいかに離脱するかが重要となる2)。
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