特集 小児領域におけるGLP-2アナログ製剤(テデュグルチド)の応用
各論:各疾患に対する使用経験
GLP-2アナログ製剤の長期投与経験
安藤 亮
1
,
工藤 博典
1
,
櫻井 毅
1
,
和田 基
1
Ryo Ando
1
,
Hironori Kudo
1
,
Tsuyoshi Sakurai
1
,
Motoshi Wada
1
1東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座小児外科学分野
pp.403-407
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000792
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はじめに
腸管不全(intestinal failure:IF)とは腸管機能の低下により生命の維持や成長に最低限必要な栄養,水分,電解質が腸管から吸収できず,経静脈的な補給を要する病態と定義される1)。IFの原因として短腸症候群(short bowel syndrome:SBS)や腸管運動機能障害,難治性下痢などの腸管吸収機能障害による機能的腸管不全があげられる2)。SBSは北米小児消化器肝臓栄養学会では残存する小腸が正常の25%以下,もしくは60日以上の静脈栄養(parenteral nutrition:PN)の必要な状態と定義している3)。小児慢性特定疾患ではSBSは小腸の大量切除に伴う吸収不良の状態と定義され,一般的に小腸の70~80%を切除すると厳重な栄養管理を要する4)。また,IFの治療にあたっては適切な経口摂取,経腸栄養,PN,中心静脈カテーテルの管理,薬物療法,拡張・狭窄腸管の形成,腸管延長術などの外科的手術,小腸移植や肝移植まで多岐にわたる治療を適切なタイミングで行っていく必要がある。
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