特集 小児領域におけるGLP-2アナログ製剤(テデュグルチド)の応用
総論
GLP-2の基礎研究
矢野 圭輔
1
,
杉田 光士郎
1
,
武藤 充
1
,
大西 峻
1
,
岩元 祐実子
1
,
緒方 将人
1
,
高田 倫
1
,
祁答院 千寛
1
,
村上 雅一
1
,
松久保 眞
4
,
川野 孝文
1
,
中目 和彦
2
,
加治 建
3
,
家入 里志
1
Keisuke Yano
1
,
Koshiro Sugita
1
,
Mitsuru Muto
1
,
Shun Onishi
1
,
Yumiko Iwamoto
1
,
Masato Ogata
1
,
Lynne Takada
1
,
Chihiro Kedoin
1
,
Masakazu Murakami
1
,
Makoto Matsukubo
4
,
Takafumi Kawano
1
,
Kazuhiko Nakame
2
,
Tatsuru Kaji
3
,
Satoshi Ieiri
1
1鹿児島大学学術研究院医歯学域医学系小児外科学分野
2宮崎大学外科学講座消化管・内分泌・小児外科学分野
3久留米大学外科学講座小児外科部門
4鹿児島市立病院小児外科
pp.320-325
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000773
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はじめに
Glucagon-like peptide-2(GLP-2)はグルカゴンの前駆体であるプログルカゴンから切断された33個のアミノ酸より構成されるペプチドであり,回腸末端から結腸に存在するL細胞で産生される。腸管に対して,腸管長の延長,絨毛高の延長,陰窩細胞増殖などのさまざまな作用をもち,短腸症候群(short bowel syndrome:SBS)において残存腸管順応促進に対する治療効果があるとされている1)。これまで多くの施設でGLP-2の基礎研究が行われており,当施設においてもSBSモデルラットや新生児壊死性腸炎(necrotizing enterocolitis:NEC)モデルラットを用いたGLP-2の基礎研究を行い,腸管順応促進効果や腸管不全関連肝障害(intestinal failure associated liver disease:IFALD)に対するGLP-2の効果を検証してきた2,3)。当施設のSBSモデルラットはIFALDを誘導しSBSの臨床像を反映した動物モデルであり,われわれは当施設に在籍した研究者の先行研究3~5)を基にSBSモデルラットにGLP-2を投与することで,GLP-2のIFALDに対する治療効果を検討した基礎研究を行った2)。
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