特集 Hirschsprung病類縁疾患―診断・治療最前線―
慢性特発性偽性腸閉塞症(chronic idiopathic intestinal pseudo-obstruction:CIIP) 慢性特発性偽性腸閉塞症の治療
武藤 充
1,2
,
田畑 有弥子
1,2
,
祁答院 千寛
1,2
,
村上 雅一
1,2
,
杉田 光士郎
1,2
,
矢野 圭輔
1,2
,
大西 峻
1,2
,
川野 孝文
1,2
,
加治 建
3
,
家入 里志
1,2
Mitsuru Muto
1,2
,
Yumiko Tabata
1,2
,
Chihiro Kedoin
1,2
,
Masakazu Murakami
1,2
,
Koshiro Sugita
1,2
,
Keisuke Yano
1,2
,
Shun Onishi
1,2
,
Takafumi Kawano
1,2
,
Tatsuru Kaji
3
,
Satoshi Ieiri
1,2
1鹿児島大学病院難治性腸疾患支援センター(Supportive and Advanced care center for Intractable intestinal diseases in Kagoshima; SAIKO) 腸管不全部門
2鹿児島大学学術研究院医歯学域医学系小児外科学分野
3久留米大学医学部外科学講座小児外科部門
pp.1268-1273
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001036
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はじめに
Chronic idiopathic intestinal pseudo-obstruction(以下,本症)という病名は,Maldonadoらにより初めて提唱され,腹痛・腹部膨満・嘔吐が主な症状とされた1)。以降,本症は,器質的原因はないが慢性的な腸閉塞様症状を呈する難治性の希少疾患と捉えられてきた。しかし,有効な治療方法に関しては,いまだ国際的なコンセンサスが確立していない。「ヒルシュスプルング病類縁疾患診療ガイドライン作成グループ(厚生労働省難治性疾患克服研究事業(田口班))」では,本症の略称をCIIPと定めた。わが国のCIIP発症は新生児期と40代以降の2峰性の傾向がみられている。小児CIIP発生率は,2012年に行われた全国調査に基づき3.7人/100万人と見積もられている2)。一方,成人患者数は全国で1,200人程度と推測されており,発生率は男性で0.21人/10万人,女性で0.24人/10万人と見積もられている3)。「空間的・時間的多発」が本症のキーワードで,治療に難渋する重症例が多い。本稿では,自験症例の治療とアウトカム,および本症に対する一般的な治療法について解説する。
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