特集 小児領域におけるGLP-2アナログ製剤(テデュグルチド)の応用
総論
開発の経緯
宮本 昌和
1
Masakazu Miyamoto
1
1武田薬品工業(株)日本開発センター
pp.326-329
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000775
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はじめに
短腸症候群(SBS)は日常および社会生活に支障をきたすまれで重篤な病態であり,経静脈サポート(PS)による栄養素または水分の補給を必要とする腸管不全の主要原因の一つである。テデュグルチド(以下本剤)は,SBS患者の腸管順応を促進することを目的に開発された世界初の治療薬で,天然型ヒトグルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)の遺伝子組み換えアナログ製剤である。本剤は33個のアミノ酸からなるペプチドで,天然型GLP-2と同一の受容体に結合し,同様の効力および選択性を示す一方で,天然型GLP-2との相違点としてN末端2位のアラニンがグリシンに置換されているため,ジペプチジルペプチダーゼ-4による分解に対して耐性を示す。したがって,本剤の半減期は健康被験者で約2時間,成人SBS患者で約1.3時間と天然型GLP-2の半減期(約7分)に比べ長いため,天然型よりも強い生物活性を示す。
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