特集 教科書にない小児外科疾患の最新情報―国内外の文献・ガイドラインから―
胆道拡張症
村上 雅一
1
,
田畑 有弥子
1
,
岩元 祐実子
1
,
緒方 将人
1
,
高田 倫
1
,
祁答院 千寛
1
,
鶴野 雄大
1
,
杉田 光士郎
1
,
矢野 圭輔
1
,
大西 峻
1
,
春松 敏夫
1
,
川野 孝文
1
,
武藤 充
1
,
家入 里志
1
Masakazu Murakami
1
,
Yumiko Tabata
1
,
Yumiko Iwamoto
1
,
Masato Ogata
1
,
Lyne Takada
1
,
Chihiro Kedoin
1
,
Yudai Tsuruno
1
,
Koshiro Sugita
1
,
Keisuke Yano
1
,
Shun Onishi
1
,
Toshio Harumatsu
1
,
Takafumi Kawano
1
,
Mitsuru Muto
1
,
Satoshi Ieiri
1
1鹿児島大学学術研究院医歯学域医学系小児外科学分野
pp.610-614
発行日 2024年6月25日
Published Date 2024/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000851
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
先天性胆道拡張症(以下,本症)は2021年National Clinical Database小児外科領域(NCD-P)登録1)によると,わが国では年間178件の手術が行われており,比較的よくみる高難度手術疾患の一つである。2016年4月には腹腔鏡下総胆管拡張症手術が保険収載され,日本内視鏡外科学会学術委員会の全国調査では2021年までに小児外科領域で286件が実施されている。2021年NCD-P登録1)で内視鏡手術企図は36.5%とされ,保険収載以降の2016年から内視鏡手術企図の比率は上昇傾向にあったが,近年では40%前後で推移しており,腹腔鏡手術を第一選択とする施設が増加している(表)2~5)。本症に対する腹腔鏡手術は高度な技術を要するため,さまざまな画像技術による手術支援や手術指導・教育の手法が検討されている。また海外だけでなく,国内でも一部の施設ではロボット支援手術が導入されており,その有用性が検討されている。周術期・術後合併症とその対策や,長期成績と発がんリスクについても以前から検討が行われている。加えて昨今の画像診断の進歩により胎児診断例が増加しつつあり,手術時期を含めたマネジメントについて議論がなされている。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.