特集 短腸症候群の診療における問題点
第118回東京小児外科研究会より
短腸症候群の治療=腸管順応促進ホルモン・ペプチド成長因子
加治 建
1,2
,
矢野 圭輔
2
,
杉田 光士郎
2
,
山田 和歌
2
,
大西 峻
2
,
松久保 眞
2
,
武藤 充
2
,
家入 里志
2
Tatsuru Kaji
1,2
,
Keisuke Yano
2
,
Koshiro Sugita
2
,
Waka Yamada
2
,
Shun Onishi
2
,
Makoto Matsukubo
2
,
Mitsuru Muto
2
,
Satoshi Ieiri
2
1久留米大学医学部外科学講座小児外科部門
2鹿児島大学学術研究院医歯学域医学系小児外科学分野
pp.306-310
発行日 2022年3月25日
Published Date 2022/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000080
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はじめに
短腸症候群(short bowel syndrome:SBS)はなんらかの原因による大量小腸切除の結果,栄養吸収が不十分となり,欠乏する栄養素を補充するために長期にわたる静脈栄養(parenteral nutrition:PN)管理を必要とする病態である。小児における原因疾患として,北米の施設を中心としたSquiresらの272例の報告では,壊死性腸炎が26%と最も多く,次いで腹壁破裂16%,腸閉鎖症10%,腸回転異常に伴う中腸軸捻転が9%と報告されている1)。一方,わが国においては2013年の福澤らの小児・乳児280例の全国調査の報告書で,腸回転異常に伴う中腸軸捻転18%,腸閉鎖症14%,壊死性腸炎3%,腹壁破裂2%と報告されている2)。このように,欧米とわが国ではSBSに至る原因疾患が異なっている。
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