特集 腸管不全症;基礎研究・臨床のトピックス
疾患モデルラットによる肝細胞増殖因子の短腸症候群に対する有用性の研究
杉田 光士郎
1
,
長野 綾香
1
,
鶴野 雄大
1,2
,
田畑 有弥子
1
,
村上 雅一
1
,
大西 峻
1
,
春松 敏夫
3
,
松久保 眞
4
,
川野 孝文
1
,
熊谷 公太郎
5
,
井戸 章雄
5
,
加治 建
6
,
家入 里志
1
Koshiro Sugita
1
,
Ayaka Nagano
1
,
Yudai Tsuruno
1,2
,
Yumiko Tabata
1
,
Masakazu Murakami
1
,
Shun Onishi
1
,
Toshio Harumatsu
3
,
Makoto Matsukubo
4
,
Takafumi Kawano
1
,
Kotaro Kumagai
5
,
Akio Ido
5
,
Tatsuru Kaji
6
,
Satoshi Ieiri
1
1鹿児島大学学術研究院医歯学域医学系小児外科学分野
2神戸大学大学院医学研究科外科学講座小児外科学分野
3鹿児島市立病院新生児内科
4鹿児島市立病院小児外科
5鹿児島大学学術研究院医歯学域医学系消化器疾患・生活習慣病学分野
6久留米大学医学部外科学講座小児外科学部門
pp.984-991
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000964
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はじめに
われわれは,短腸症候群(short bowel syndrome:SBS)の基礎研究は腸管順応の促進と腸管不全関連肝障害の予防という2つの大きな柱があると考えて基礎研究を進めている。すなわち主な臓器ターゲットは消化管と肝臓と考えられ,両者に直接的に十分な効果を発揮する生理活性物質や薬剤が理想である。また近年定着しつつあるgut-liver axisも新たに重要な治療ターゲットとして認識されつつあり,われわれの施設ではこの3領域に焦点を当て研究している。SBSに対する細胞増殖因子の研究は以前から行われており,上皮増殖因子(epidermal growth factor:EGF)や肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor:HGF)が研究されてきた。HGFはSchwarzらの研究室が1997年から10数年にわたり継続した研究を行っており1,2),HGF以外は散発的に数えるほどしかない。新規性の高い生理活性物質ではないのかもしれないが,基礎研究の背景としては十分ではないかとわれわれの研究グループは考えている。
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