特集 ここまで来た! 新生児マススクリーニングと対象疾患の治療
新生児マススクリーニングの検査法―もはやガスリー法ではない
ガラクトースの測定法とカットオフ値の問題
渡辺 和宏
1
,
石毛 信之
1
WATANABE Kazuhiro
1
,
ISHIGE Nobuyuki
1
1東京都予防医学協会小児スクリーニング科
pp.1752-1756
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002156
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はじめに
ガラクトース血症の新生児マススクリーニング(NBS)は,ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(GALT:EC 2.7.7.12)欠損症の発見を目的にわが国では1977年から開始された。GALT欠損症のスクリーニングには,GALT酵素活性を測定する方法(ボイトラー法)が従来から実施されている。その後,GALT欠損症で増加する血中のガラクトース(Gal)濃度を測定する方法(ペイゲン法・酵素法)が導入されたことで,GALT欠損症以外の酵素欠損症の存在も明らかとなり,現在では4つの病型が知られている。これらの酵素欠損症は,主に肝臓におけるGalの代謝酵素の障害であり「ガラクトース血症」と総称されている。一方で,ガラクトース血症以外で二次的にGalが高値となりNBSで発見される症例も少なくない。代表的な疾患に門脈体循環シャント,胆汁うっ滞をきたす疾患(胆道閉鎖症・シトリン欠損症など),Fanconi-Bickel症候群などが挙げられ,これらを「高ガラクトース血症」と呼称している。
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