Japanese
English
増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅱ.先天代謝異常
32.ガラクトース血症
Galactosemia
和田 陽一
1
WADA Yoichi
1
1東北大学大学院医学系研究科小児病態学分野
pp.210-214
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000546
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
1 基本病因,発症機序
ガラクトースは単糖類の一種であり,グルコースとともに乳糖を構成する。母乳や乳製品に含まれる乳糖は,腸管上皮細胞刷子縁のガラクトシダーゼによってグルコースとβ-D-ガラクトースに分解された後に,SGLT1やGLUT2を介して体内に吸収される。吸収後に門脈を介して肝臓に流入したガラクトースは,90%以上が初回通過効果で肝細胞内に吸収されるため,生理的には肝静脈内の血液にはほとんど存在しない。ガラクトースはGLUT2を介して肝細胞内に取り込まれる。肝細胞内に取り込まれたガラクトースはLeloir pathway(図1)によって代謝され,解糖系や糖鎖形成の基質などとして生体内で利用される。なおガラクトースは脳糖とよばれるように,糖鎖合成の基質として脳神経系の発達に重要な役割を果たしていると考えられている。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.