Japanese
English
特集 エキスパートが教える 小児の薬物治療
Ⅲ.疾患別
E.神経筋疾患
脊髄性筋萎縮症
Spinal muscular atrophy
齋藤 加代子
1
Kayoko Saito
1
1東京女子医科大学ゲノム診療科
キーワード:
脊髄性筋萎縮症
,
疾患修飾治療薬
,
ヌシネルセン
,
オナセムノゲンアベパルボベク
,
リスジプラム
Keyword:
脊髄性筋萎縮症
,
疾患修飾治療薬
,
ヌシネルセン
,
オナセムノゲンアベパルボベク
,
リスジプラム
pp.594-598
発行日 2023年11月30日
Published Date 2023/11/30
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001298
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
1 疾患概念
脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)は脊髄前角細胞の変性・消失による筋萎縮と進行性筋力低下を特徴とする下位運動ニューロン病である。発症年齢と最高到達運動機能により病型分類される。90%以上は小児期発症であり,Ⅰ型が半数を占める。Ⅰ型は新生児,乳児におけるフロッピーインファントの代表格である。多くは頸定を獲得しないが,いったん頸定を獲得してから発症する例もいる。自然歴では,気管切開・人工呼吸管理なしにおいては2歳までに9割が死亡する。Ⅱ型は生涯,起立・歩行が不可能,次第に関節拘縮をきたし,思春期に脊柱変形が進行する。Ⅲ型は一旦獲得した歩行機能を次第に喪失,Ⅳ型は成人発症で徐々に運動機能を喪失する。日本人の有病率は人口10万人に1.17,発生率は出生1万人に0.51,Ⅰ型の発生率は出生1万人に0.27である1)。治療法のなかった時代には,とくにⅠ型は救命のために乳児期における気管切開・人工呼吸管理・経管栄養・胃瘻造設を必要とする疾患であり,保護者への診断告知はbreaking bad newsとして小児科医にとって困難な任務の一つであり,長い間その根本治療が望まれてきた。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.