Japanese
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特集 エキスパートが教える 小児の薬物治療
Ⅲ.疾患別
C.循環器疾患
急性期・慢性期の川崎病
Kawasaki disease
濱田 洋通
1
Hiromichi Hamada
1
1千葉大学大学院医学研究院小児病態学
キーワード:
川崎病
,
血管炎
,
免疫グロブリン
,
冠動脈疾患
,
心筋梗塞
Keyword:
川崎病
,
血管炎
,
免疫グロブリン
,
冠動脈疾患
,
心筋梗塞
pp.439-442
発行日 2023年11月30日
Published Date 2023/11/30
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001266
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1 疾患概念
川崎病は,1967年に川崎富作博士が報告した小児の急性血管炎である1)。発熱と全身の血管拡張による皮膚粘膜の発疹・発赤を主症状とする。原因は未だ十分に解明されていない。全身の動脈から静脈にいたるまでの血管炎であるが,中小動脈にその中心があり,無治療でも3~4週間で自然解熱するものの25%の患者において心臓冠動脈に拡張や瘤を残し,虚血性心疾患のハイリスクとなる。これが川崎病のもっとも重要な合併症である。頻度には人種差があり,アジア人とくに日本人にもっとも頻度が高く,少子化にもかかわらず患者数は増加し,2019年には17,348人,0~4歳の罹患率は10万対370.1であり,小児のcommon diseaseといえる2)。男子の罹患率は女子より高い。COVID-19パンデミックによる社会隔離や感染対策によって2020年に患者が減少し,感染症との関連が改めて示された3)。治療は進歩しているが,20%がファーストラインの治療に不応であり,8%に冠動脈病変を合併し,慢性期にも2%に冠動脈病変を残す2)。SARS-CoV-2感染症罹患後2~6週間で川崎病と類似した症状を呈する小児多系統炎症性症候群(MIS-C)が学童を中心に経験されるようになり,この疾患と川崎病の鑑別,治療が新たな課題となっている4)。
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