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特集 エキスパートが教える 小児の薬物治療
Ⅲ.疾患別
C.循環器疾患
肺動脈性肺高血圧症
Pulmonary arterial hypertension
髙月 晋一
1
Shinichi Takatsuki
1
1東邦大学医療センター大森病院小児科
キーワード:
特発性肺動脈性肺高血圧症
,
遺伝性肺動脈性肺高血圧症
,
肺血管拡張薬
Keyword:
特発性肺動脈性肺高血圧症
,
遺伝性肺動脈性肺高血圧症
,
肺血管拡張薬
pp.434-438
発行日 2023年11月30日
Published Date 2023/11/30
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001265
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1 疾患概念
肺動脈性肺高血圧症は,末梢肺動脈における中膜肥厚と内膜細胞の増殖によって,肺血管抵抗および肺動脈圧の上昇が生じる。この肺動脈圧の上昇に対し右心負荷が増大し,右室が適応できずに破綻すると右心不全が進行する疾患群である。肺高血圧の定義は,原因となる疾患を問わず右心カテーテルにて「安静時の平均肺動脈圧が25mmHg以上かつ肺血管抵抗係数が3Wood Units·m2以上」と定義されている。2018年,フランスで開催された第6回の肺高血圧ワールドシンポジウムで提言された肺動脈性肺高血圧症の定義は,「平均肺動脈圧が20mmHgをこえる場合で,肺動脈楔入圧が15mmHg以下かつ肺血管抵抗係数が3Wood Units·m2以上のもの」とされている1)。肺動脈性肺高血圧症は,肺高血圧ワールドシンポジウムにおける肺高血圧症の臨床分類の第1群に分類され,病態の首座は肺動脈自体であり前毛細血管性肺高血圧症ともよばれる。これに対し,左心系疾患などによる肺高血圧では肺動脈楔入圧が15mmHg以上を示し,後毛細血管性肺高血圧症として区別されるが,しばしばこの2つの病態は混在する。小児における肺動脈性肺高血圧の原因疾患としては,特発性,遺伝性に加え,とくに先天性心疾患に関連するものや(Eisenmenger症候群を含む),新生児遷延性肺高血圧症などが重要である2)。
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