特集 小児科医が知っておくべき性の知識
各論
性同一性障害/性別不合 児童思春期のトランスジェンダーと心理職の役割
石丸 径一郎
1
,
此下 千晶
1
,
森田 真梨子
1
,
半田 知佳
1
,
宮山 未来乃
1
ISHIMARU Keiichiro
1
,
KONOSHITA Chiaki
1
,
MORITA Mariko
1
,
HANDA Chika
1
,
MIYAYAMA Mirano
1
1お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科発達臨床心理学コース
pp.1731-1734
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000428
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はじめに
子どもに対してLGBTQの知識をどのくらいの発達段階で教えたらよいか,またLGBTQかもしれない子どもに対してどのように接したらよいかということは,科学的,政治的,宗教的,倫理的な主張が錯綜する,議論の多いテーマである。大人の場合は,性別,性的指向,性自認の各概念を明確に理解したうえで,自身のあり方について探究しアイデンティティを確立していくことが可能である。一方,子どもの場合には,性別とは何かということを理解していく途上であったり,性的指向と性自認とが渾然一体としたものであったりするので,推論のための足場のない,相対的で流動的な座標軸のなかで試行錯誤をしていくしかない。しかし一方で,学校などで現実社会と折り合いをつけながら,曖昧で説明しづらいものを周囲に説明をしながら,生活していかなければならないところに特有の困難があるといえる。
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