特集 小児科医が知っておくべき性の知識
トピック
生殖医療はどこまで進歩したか?
齊藤 隆和
1
SAITO Takakazu
1
1国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター不妊診療科
pp.1735-1738
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000429
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はじめに
生殖医療とは何か,と考えると「人工授精からかな?」と思う。人工授精には用いる精子により,夫の精子〔AIH(artificial insemination with husband’s semen):配偶者間人工授精〕,他人の精子〔AID(artificial insemination with donor’s semen):非配偶者間人工授精〕があり,それらは,わが国において70年以上の歴史がある。人工授精といっても,現実には子宮腔内に精子をただ注入するのみであり授精にいたる操作ではない。そのためIUI(intrauterine insemination:子宮腔内精子注入法)という言葉で表現されるようになったが,長年の歴史からかAIH,AIDとよぶほうに慣れているようである。開発当時としては画期的な治療であり,まるで授精まで可能にする革新的な治療と思われたのかもしれない。やがて,体外受精の治療が開始されると生殖医療は大きな変革とその後のさまざまな進歩を遂げていくのである。その進歩と近年この診療技術が進んだことにより可能となった「着床前遺伝学的検査」や「がん患者の生殖機能温存」とのかかわりについて概説する。
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