連載 楽しく性を語ろう―性の健康学・9
性同一性障害・トランスジェンダー
中村 美亜
pp.420-421
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101330
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今の学生にとって「性同一性障害」という言葉は,随分身近なものであるらしい.テレビ番組『3年B組金八先生』がこの問題を取り上げた効果は大きかった.またフェンシング元日本代表の杉山文野さんや,NHK紅白歌合戦に出場した中村中(あたる)さんなど,性同一性障害であることを公表している有名人も多いからだろう.そこで今回の授業では,「性同一性障害とは何か?」よりも,「性同一性障害は,なぜ“障害”か?」に焦点を当てることにし,「トランスジェンダー」との違いについても話をすることにした.
まず最初にNHK教育テレビの『ハートをつなごう』で放映された「性同一性障害(第1回)」を見た.これを選んだのは,番組の冒頭で杉山文野さん自身が「性同一性障害って言うと,なんだか暗~いというイメージがあるけど,もっと明るく楽しくいきたい」と話しているように,「性同一性障害=かわいそうな人」という印象があまり強調され過ぎない番組作りになっているからだ.確かに「かわいそうな」面はあるが,そこをあまり強調しても「特別な人扱い」されて終わってしまう.
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