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疾患の概要
Choledochoceleは,胆管末端の十二指腸壁内部分が囊腫状に拡張した形態異常で,Alonso-Lejら1)の分類による先天性胆道拡張症のⅢ型に相当する。本邦の先天性胆道拡張症の頻度は,1.3万人に1人と欧米(10~15万人に1人)と比較して高いが,choledochoceleは先性胆道拡張症の約1~4%を占めるにすぎない稀な疾患である2)。Choledochoceleの合併症として頻度が高いものは胆道結石と膵炎であり,その機序として,囊腫による胆汁や膵液のうっ滞が考えられている3)。神澤らは,胆汁と膵液の流出動態の観点からcholedochoceleを①胆管と膵管が形成する共通管が囊状に拡張した共通管拡張型,②胆管末端部が囊状に拡張し,膵管と短い共通管を形成して十二指腸乳頭部に開口する胆管末端部拡張・共通管形成型,③胆管末端部が囊状に拡張し,膵管とは別口で主乳頭に開口する胆管末端部拡張・共通管非形成型,の三型に分類し,胆道結石の合併はいずれの型でもよくみられるが,膵炎に関しては,共通管拡張型と胆管末端部拡張・共通管形成型のみでみられたことを報告している3)。Choledochoceleは十二指腸壁内に位置するため,囊腫の上流の胆管および膵管周囲にOddi括約筋が存在し,他の先天性胆道拡張症と異なり,形態的に膵・胆管合流異常を伴わないが,一部の症例では胆汁中アミラーゼが高値を示し,膵液の胆道内逆流が起こっている可能性が指摘されている3, 4)。特に共通管拡張型では,囊腫内で明らかに膵液と胆汁の混和,貯留が生じるため,膵・胆管合流異常ほど高頻度ではないものの胆道癌の合併に注意が必要である3, 4)。Choledochoceleの治療としては囊腫の開放を目的として,内視鏡的乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy:EST)が施行されている2~4)。
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