Japanese
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特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅲ.その他
憩室,先天性形成不全
傍乳頭憩室
Periampullary diverticulum (PAD)
小川 貴央
1
Takahisa Ogawa
1
1仙台市医療センター仙台オープン病院消化管・肝胆膵内科
キーワード:
憩室出血
,
憩室炎
,
Lemmel症候群
Keyword:
憩室出血
,
憩室炎
,
Lemmel症候群
pp.658-659
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001408
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疾患の概要
憩室は,消化管壁が外側に囊状に突出したものであり,消化管のいずれの部位にも生じるが,大腸,十二指腸で頻度が高い。十二指腸憩室の70~90%は乳頭近傍に発生し,明確な定義はないが,一般的には主乳頭から1~3cm以内に存在する憩室を傍乳頭憩室と呼ぶ1)(傍乳頭憩室の頻度および大きさは加齢とともに増大する傾向があり,憩室の形成には,加齢による消化管壁の脆弱化や腸管内圧の亢進などが関与していると考えられている1~3))。傍乳頭憩室の大部分は無症状で,上部消化管内視鏡検査やERCPを施行した際に偶然発見され,治療の適応となるものは少ない。稀に憩室炎や穿孔,出血をきたすことがあり,その場合には治療の適応となる。憩室炎に対しては,抗菌薬投与による保存的加療が行われるが,穿孔をきたした場合には,外科的治療が必要となることが多い。出血に対しては,内視鏡的止血術が第一選択で,その方法としてはクリップ法,純エタノール局注法,エピネフリン加高張食塩水(hypertonic saline-epinephrine:HSE)局注法,高周波凝固法などが行われている。内視鏡的止血術が困難である場合には,動脈塞栓術や外科手術が必要となる。
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