特集 臨床研究の倫理的課題 ~最近の動向,論点,展望~
3.小児を対象とする臨床研究で追加的に求められる倫理的配慮
松井健志
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1独立行政法人国立循環器病研究センター 医学倫理研究室・室長/同センター バイオバンク個人情報管理室・室長
pp.1959-1963
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014081959
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小児を対象とする臨床研究では,小児が持つ「〈1〉身体面,〈2〉人格面,〈3〉社会面」それぞれにおける未成熟性・脆弱性を基礎として,成人対象の研究における以上の,追加的な倫理的配慮が求められる。対象となる小児の身体的特性の違いによっては,研究方法や評価方法を階層化する必要が生じるとともに,晩期的影響への配慮も時に必要となる。また,庇護者の代諾を得るのに加えて,可能な限り研究参加についてのアセントを児本人から得るための環境や方法・手順を,研究者側が用意する必要がある。これら被験児の保護に加えて,小児を対象とする臨床研究に社会的資源を優先的に投入するなど,社会制度的に小児全体を守っていくための努力も同時に求められる。