講座 作業療法研究と倫理【最終回】
看護研究における倫理的配慮
片田 範子
1
Noriko Katada
1
1兵庫県立大学
pp.500-504
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200239
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Key Questions
Q1:看護研究における倫理指針はどのように発展してきたか?
Q2:看護研究を行う際に求められることとは?
Q3:研究倫理審査に必要な項目例とは?
倫理的取り組みの変遷
本稿では,日本の看護研究における倫理的取り組みについて,看護と看護倫理の背景を含め概説させていただく.
看護師の倫理綱領は,1953年に国際看護師協会(International Council of Nurses:ICN)が「看護倫理の国際規律」を採択し,その後1973年に「ICN看護婦の規律—看護に適用される倫理的概念」を公表した.また2012年には,「ICN看護師の倫理綱領」として改訂されている.日本においては,日本看護協会が1988年(昭和63年)に「看護婦の倫理規定」を示し,社会の変化に伴い,2003年(平成15年)に新たに「看護者の倫理綱領」1)として公表している(表).看護を実践するうえでの指針として,看護界で合意されているものであり,これを公表することで看護職の社会への責任を示している.この前文に示されているように,看護は「人々の健康な生活の実現に貢献することを使命」とし,「あらゆる年代の個人,家族,集団,地域社会を対象とし,健康の保持増進,疾病の予防,健康の回復,苦痛の緩和を行い,生涯を通してその最期まで,その人らしく生を全うできるように援助を行う」ことを目的としている.この目的を実現するために,看護職が働く場は,病院,在宅,保健所,助産院,学校,保育園等,多岐にわたっている.
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.