焦点 看護研究と倫理
研究対象者から同意を得る上での倫理的配慮
近澤 範子
1
1兵庫県立看護大学
pp.138-144
発行日 2001年4月15日
Published Date 2001/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900604
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はじめに
臨床研究において最も重要な倫理的課題は,インフォームド・コンセントと利害の比率を決定することの2つだと言われる1)。研究におけるインフォームド・コンセントとは,研究に参加することによってもたらされる利益やリスク,研究への参加を拒否する権利などについて十分に情報提供を行ない,対象者がそれらを的確に理解した上で,自主的に同意するように保証する過程である。したがって,情報を理解する能力や自己決定の能力に限界のある場合―例えば小児や精神機能が障害されている場合など―には,インフォームド・コンセントに特別の配慮を要する。
本稿では,このように研究対象者へのインフォームド・コンセントに特別の考慮を要する場合に焦点をあてて,研究協力への依頼のしかたと同意の得かたにっいて述べる。なお,ここでは主に筆者の専門である精神看護学領域の研究事例に基づいて具体的な留意点を述べることとし,これに加えて,研究倫理委員会委員として他領域の研究計画書に関する審査に携わった経験から,小児や痴呆性老人を対象とする場合の留意点について,若干補足したい。
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