特集 臨床研究の倫理的課題 ~最近の動向,論点,展望~
4.医薬品の臨床試験と倫理~ランダム化とプラセボの許容条件~
田代志門
1
1昭和大学研究推進室・講師
pp.1965-1968
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014081965
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ランダム化比較試験(RCT)は,その開発当初から倫理的な議論を巻き起こしてきた。中でもその焦点となってきたのは,「ランダム化」と「プラセボ投与」をめぐる問題である。ランダム化に関しては,「臨床的均衡」というアイデアが支持されてきたが,現在ではその妥当性に対する批判もある。
他方で,標準治療がある場合のプラセボ対照試験に関しては,ヘルシンキ宣言を中心として国際的な議論が進んでおり,少なくとも「科学的必要性」と「重篤で回復不能な害の回避」という2つの要件を満たす必要があることが合意されている。しかしその一方で,「何を標準治療と見なすか」,「何を重篤で回復不能な害と見なすか」という点については必ずしも明確化されていない。