特集 臨床研究の倫理的課題 ~最近の動向,論点,展望~
2.包括的同意をめぐる法的・倫理的・社会的課題
丸山英二
1
1神戸大学大学院法学研究科・教授
pp.1953-1957
発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12014081953
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〈1〉診療で発生した試料・情報,〈2〉バイオバンクの試料・情報,〈3〉先行する研究で残った試料・情報,の研究利用について,対象者(試料が由来する者を含む)から,あらかじめ,研究計画や研究者を特定しないで試料・情報の研究利用を認める包括的同意を得る方法は,それに基づいて実施される研究についての情報を公開するとともに,同意の撤回の可能性を保障する態勢が用意された上で,〈1〉収集される試料・情報の範囲,〈2〉試料・情報の利用方針,〈3〉収集を行った者・機関の死亡・解散・事業承継時の対応方針,〈4〉同意の撤回に関する対応方針,〈5〉試料・情報の保存・廃棄の方針,などについて,可能な限り説明を尽くした後に得られる同意によるものであれば,試料・情報の研究利用の推進と対象者の保護を両立させることができる現時点での最適の方法と考えられる。