小児・妊婦・高齢者に対するIBD診療
炎症性腸疾患が妊娠・胎児に与える影響
長沼 誠
1
,
金井 隆典
1慶応義塾大学 医学部消化器内科
キーワード:
Crohn病
,
炎症性腸疾患
,
生殖能力
,
大腸炎-潰瘍性
,
男性
,
妊娠合併症
,
妊娠転帰
Keyword:
Crohn Disease
,
Colitis, Ulcerative
,
Fertility
,
Men
,
Pregnancy Complications
,
Pregnancy Outcome
,
Inflammatory Bowel Diseases
pp.149-154
発行日 2017年3月20日
Published Date 2017/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2017217815
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炎症性腸疾患は若年に発症し,妊娠・出産などの重要なイベントに影響することが多い.出産を希望する患者への指導,管理を適切に行うためには,炎症性腸疾患や使用する薬剤が妊孕性,妊娠転帰・胎児に与える影響について患者へ適切に伝えることが重要である.妊孕性については非手術例では潰瘍性大腸炎,クローン病ともにコントロール群と差がないが,手術既往歴,活動期肛門病変を有する症例では妊孕性が低下する.疾患と妊娠・出産転帰との関連については,本邦で多施設共同研究が施行され,潰瘍性大腸炎では発症前後で妊娠転帰に差がない一方で,クローン病では発症後で流産や帝王切開を要する割合が高いことが明らかになっている.また妊娠中の再燃は出産転帰や新生児の状態に影響することも報告されている.以上より,妊娠を考慮するときより疾患活動性をコントロールすることが重要であると考えられる.
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