炎症性腸疾患-ファーストタッチから長期マネジメントまで 特殊な状況(病態)への対応
小児の炎症性腸疾患
新井 勝大
1
1国立成育医療研究センター 消化器科
キーワード:
Crohn病
,
Steroids
,
炎症性腸疾患
,
下痢
,
鑑別診断
,
成長障害
,
大腸炎-潰瘍性
,
Mesalazine
,
栄養管理
,
小児医療から成人医療への移行
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Diarrhea
,
Crohn Disease
,
Colitis, Ulcerative
,
Growth Disorders
,
Steroids
,
Inflammatory Bowel Diseases
,
Mesalamine
,
Nutrition Therapy
,
Transition to Adult Care
pp.645-650
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016019458
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小児期に発症する炎症性腸疾患の患者は世界的に増えており,その診断と治療に成人診療医がかかわることは少なくない.その診断には,乳幼児であっても上下部の消化管内視鏡検査が必要であり,カプセル内視鏡やMREによる小腸の画像評価も求められる.また,とくに乳幼児期に発症した患者では,原発性免疫不全症などの鑑別が重要となる.治療目標としては,成人患者と同様で,粘膜治癒を目指すべきであり,免疫調節薬や生物学的製剤の使用が行われることも少なくない.一方で,小児Crohn病患者の第一選択治療は栄養療法であり,配慮が必要である.小児期に発症したIBD患者を診療する際には,小児科医が併診することで,成長や社会的問題,また適切なワクチン接種などにも配慮できることが期待される.小児期診療科から成人期診療科への速やかなトランジッションに向けての学会レベルでの取り組みが期待されている.
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