特集 ヘリコバクター・ピロリ診療update
3.H. pylori保険診療の課題を紐解く
古田 隆久
1
1ふるた内科クリニック
キーワード:
感染診断
,
感受性試験
,
メトロニダゾール
,
救済療法
,
ペプシノゲン
,
自己免疫性胃炎
,
抗壁細胞抗体
,
抗内因子抗体
Keyword:
感染診断
,
感受性試験
,
メトロニダゾール
,
救済療法
,
ペプシノゲン
,
自己免疫性胃炎
,
抗壁細胞抗体
,
抗内因子抗体
pp.1231-1236
発行日 2025年8月20日
Published Date 2025/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003615
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H. pylori感染の保険診療においてはいくつかの問題点がある.H. pylori感染関連疾患の診断がつかないとH. pylori感染診断が行えず,内視鏡検査を承諾できない患者での検査ができない.また,H. pyloriの抗菌薬感受性試験が査定される場合があり,クラリスロマイシン耐性の有無が不明のままにクラリスロマイシンを含むレジメンでの治療が行われている.そして,メトロニダゾールはその添付文書上の制限があり,一次除菌に使用することは困難である.また,二次除菌失敗後の救済療法や薬物アレルギーがあり標準療法での治療ができない場合のレジメンも保険診療外である.さらに,H. pylori感染と密接な関係にある胃炎マーカーの血清ペプシノゲンや,H. pylori胃炎との鑑別が問題となる自己免疫性胃炎の診断に必要な抗壁細胞抗体,抗内因子抗体の検査も保険収載されていない.多様なH. pylori感染関連疾患患者に対応していくためにも,これらの問題を解決する必要がある.

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