連載 Focus On
H. pylori感染胃炎と自己免疫性胃炎
伊藤 公訓
1
,
松石 苺子
2
,
宮森 大輔
1
1広島大学病院総合内科・総合診療科
2吉島病院総合診療科
キーワード:
自己免疫性胃炎
,
Helicobacter pylori
,
多腺性自己免疫症候群
Keyword:
自己免疫性胃炎
,
Helicobacter pylori
,
多腺性自己免疫症候群
pp.1371-1374
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika129_1371
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自己免疫性胃炎(AIG)は,胃壁細胞のプロトンポンプを自己抗原とした免疫反応により生じる萎縮性胃炎である.Helicobacter pylori感染率低下に伴い,AIGの臨床的重要性が増している.H. pylori感染胃炎とAIGは,まったく異なる病態であるが,胃がんリスクを有するという点は共通している.AIG症例では,胃カルチノイドや悪性貧血のみならず,他の自己免疫性疾患を合併する頻度が比較的高く,全身疾患(多腺性自己免疫症候群)として捉えることが重要である.H. pylori感染とAIG発症との因果関係については不明な点が多いが,H. pylori感染はAIGの発症に抑制的に働いている可能性がある.
© Nankodo Co., Ltd., 2022