特集 胆膵の画像・内視鏡診断の進歩―早期診断と正確な診断のために
4.閉塞性黄疸に対する内視鏡的診断アプローチ ―EUS/ERCP
桒谷 将城
1
,
米村 洋輝
1
,
野澤 俊一郎
1
,
岸 法磨
1
,
杉浦 諒
1
,
川久保 和道
1
,
坂本 直哉
1
1北海道大学病院消化器内科
キーワード:
閉塞性黄疸
,
ERCP
,
EUS
,
IDUS
,
鉗子生検
,
ブラシ擦過
,
細胞診
,
EUS-FNA
Keyword:
閉塞性黄疸
,
ERCP
,
EUS
,
IDUS
,
鉗子生検
,
ブラシ擦過
,
細胞診
,
EUS-FNA
pp.1625-1631
発行日 2023年11月20日
Published Date 2023/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002866
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閉塞性黄疸の原因には,遠位胆管狭窄と肝門部胆管狭窄がある.狭窄部位診断のためにまず簡便に施行可能なUS/CTを行う.MRCPも有用であるが,設備や時間的制約に縛られることが多いため,バイタルサインの異常を伴う場合には向いていない.狭窄部位診断の後に行うのは,病変の詳細な局在診断である.遠位胆管狭窄においては,診断精度が高く侵襲性の低い,EUSが第一に推奨される.US/CT/MRCPによっても胆道病変,膵病変,それ以外の病変(リンパ節病変や後腹膜病変など)がある程度診断可能ではあるが,画像分解能で最も優れるEUSを行うことで診断が変わったり確証が得られたりする.病変の主座に加えて遠隔リンパ節腫大の有無や病変と血管との位置関係も観察でき,癌のステージ診断にも寄与する.胆道病変の場合には,胆管ドレナージも同時に可能なERCPを行い,胆管造影による狭窄の範囲診断,IDUSによる胆管壁構造の詳細な観察と生検や細胞診による病理学的診断を行う.胆道病変以外の場合,可能であればEUS-FNAにより病理学的診断を行ったのち,必要に応じてERCPを行って胆道病変診断と同様の順を踏む.肝門部胆管狭窄においても上記同様にEUSが第一に推奨される.胆道病変とそれ以外の病変(リンパ節病変や後腹膜病変など)の区別により,前者であればERCPによる診断を遠位胆管狭窄と同様に進めるが,胆道癌の場合の肝葉切除の要否の判断のため,さらに近接する右肝動脈と病変との関係性を十分に観察する.後者であれば,EUS-FNAにより病理学的診断を行ったのち,ERCPを行って胆道病変診断と同様の順を踏む.
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