これ一冊ですべてわかる消化器超音波検査
Ⅲ 胆膵領域 ③ 十二指腸乳頭腫瘍における超音波検査の役割
川嶋 啓揮
1
,
大野 栄三郎
2
,
石川 卓哉
2
,
飯田 忠
2
,
鈴木 博貴
2
,
藤城 光弘
2
1名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部
2名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学
キーワード:
乳頭部腺腫
,
乳頭部腺癌
,
EUS
,
ERCP
,
IDUS
Keyword:
乳頭部腺腫
,
乳頭部腺癌
,
EUS
,
ERCP
,
IDUS
pp.1038-1042
発行日 2020年8月7日
Published Date 2020/8/7
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001278
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十二指腸乳頭部(以下,乳頭部)は十二指腸下降部のほぼ中央かやや肛門側に位置する.この解剖学的位置により経腹壁超音波検査(以下,US)で乳頭部を描出することはほぼ不能であり,US の乳頭部腫瘍診断における役割は胆管拡張や膵管拡張の所見により乳頭部腫瘍症例を拾いあげることと,進行癌症例での肝転移の有無などの検索に限られる.「胆道癌取扱い規約第6 版」では乳頭部は“Oddi 筋に囲まれた部分”と定義されている.その目安は胆管が十二指腸壁(十二指腸固有筋層)に貫入してから乳頭開口部までとし,乳頭部胆管(Ab),乳頭部膵管(Ap),共通管部(Ac),大十二指腸乳頭(Ad)を総称して乳頭部とすると記載されている.このことから他の消化管と異なる特徴として,乳頭部の解剖を理解するには十二指腸の長軸方向と交わる方向に走行するAc,Ab,Ap があるという三次元的な把握が必要となる.乳頭部腫瘍の深さ方向,水平方向(胆管・膵管の長軸方向)の進展度診断の中心は後方斜視鏡を用いた内視鏡診断と超音波内視鏡検査(EUS),管腔内超音波検査(IDUS)が中心となる.
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